デュタステリドは1型と2型、フィナステリドは2型のみに効果的

爆発的に普及してきた日本初のAGA治療承認薬「フィナステリド(プロペシア)」も元はデュタステリドと同じ前立腺治療成分。
そのフィナステリド(プロペシア)に遅れること10年の2015年にようやくAGA治療薬として承認されたデュタステリド(商品名はザガーロ)。
両者の違いは何なのでしょうか?
- 作用の違い
- デュタステリド:1型・2型両方の5αリダクターゼに作用
- フィナステリド:2型の5αリダクターゼにのみ作用
フィナステリドもデュタステリドもAGAの原因と言われる男性ホルモン「ジヒドロテストステロン(DHT)」を生成する5αリダクターゼという還元酵素の働きを抑制する効果があると言われていますが、この5αリダクターゼには1型と2型が存在し、AGAの原因となるのは2型のみと言われています。
デュタステリドもフィナステリドも5αリダクターゼの働きを抑制する効果は同じですが、デュタステリドは1型と2型両方の5αリダクターゼに作用し、フィナステリドは2型5αリダクターゼにのみ作用するという違いが存在します。
出典:聖心美容クリニック - 半減期の違い
半減期(薬の血中濃度が半分になるまでの期間)がフィナステリドよりも長いです。
- デュタステリド:約41時間程度
- フィナステリド:約3~4時間程度
- 治療効果の違い
デュタステリドとフィナステリド。両者を比較検討した臨床試験によると、デュタステリドはフィナステリドの約1.5倍の脱毛抑制効果がありました。育毛効果に関しても0.5mgではフィナステリドよりも太さが増えているという結果が出ました。
デュタステリドの方が治療効果が高いという結果が出たのです。
なぜデュタステリドの方が効果が高いのか?
2型酵素にだけ作用するフィナステリドと違ってデュタステリドは1型・2型両方に作用するから効果が高い!とか言う声も聞きますけど、そもそもAGAに関与しているのは2型酵素だけで、1型は抑制してもしなくてもオッケーと言われていたはずです。
2型5αリダクターゼだけがAGAに関与していると言われる理由
- 2型は男性にのみ存在しており、女性には存在しません。1型は女性にも存在します。
- 2型酵素の分布やそれによって生成されるジヒドロテストステロン(DHT)の受け皿の分布には偏りがあり、頭部のつむじ部や生え際前頭部に集中しています。1型は頭部だけでなく体毛すべてどこにでも存在しています。
- もし1型もAGAに関与しているというのであれば、AGAの薄毛の特徴である前頭部や頭頂部のみが脱毛し、側頭部や後頭部の毛髪は脱毛せずに残るというのはおかしいということになります。全部が均一に薄毛化するはずというわけです。
それでも実際にデュタステリドがフィナステリドよりも効果が高いという臨床結果が出ているということは…、考えられる理由は以下の2つでしょうか。
- デュタステリドの方が2型の働きを抑制する効果が高い
1型・2型両方とかいうのは関係なくて、そもそも2型酵素を抑制するパワーがフィナステリドよりもデュタステリドの方が強いですよっていうパターン。
- 関与していないと言われる1型が実は関与している
2型は毛乳頭細胞や毛母細胞から発生し、1型は皮脂腺から発生すると言われています。2型は頭頂部や前頭部生え際など偏った分布が見られますが、1型はどこにでもいます。どこにでもいるということは2型がいる頭頂部や前頭部生え際にもいるということです。
実際にAGA男性の脱毛部位の頭皮の毛包には5α還元酵素2型だけではなく1型も発現しており、1型とAGAとの関係が示唆されているという研究報告もあります。
1型だけ発現している場所ではAGAに関与するような働きはしないけど、2型と一緒の発現することでAGAに影響を与えるってことでしょうか…?もし1型がAGAに影響を与えるとしたら、1型に作用する分デュタステリドの方が効果が高いというのは納得できますよね。
上記はあくまで個人的な予想です。
AGA治療は治療効果に大きく個人差が出る治療ですから、デュタステリド、フィナステリドどちらが効果的かは個人差がある気がしますけどね。フィナステリドで十分効果が出る人もいますし、フィナステリドは効かなかったけど、デュタステリドは効いたって人がいるのも事実。AGA治療は人それぞれ効果が出方が異なります。どっちがいい悪いと比較するんじゃなくて、自分に合う方の治療を選択することが大事です。
AGA治療薬デュタステリドの登場による恩恵
デュタステリドがフィナステリドよりも効果が高いとしたら、なぜ今までAGA治療薬として普及しなかったのでしょうか?
AGA治療専門医に伺ったところ…
「病院によっては今までもアボルブをAGA治療薬として処方してきたところがありましたけど、多くの病院が処方してこなかったのは、国内承認されているフィナステリドで多くの人が効果を出しているのでわざわざ未承認のデュタステリドを処方しなくてもフィナステリドで十分でしょと考える医師は多かったと思いますよ。ただ、フィナステリド同様に副作用や使用上の注意点があるお薬なので個人輸入で入手して自己判断で勝手に服用するのはかなり危険な行為。もし服用したいのであれば必ず医師の指導の下服用するようにしてください。」
とのこと。
しかしながら、ここへきてAGA治療薬としての承認が下りたということで本格的にデュタステリドをAGA治療薬として使用する病院も増えてくるでしょうね。
デュタステリドとフィナステリド。どちらが良いという比較することはあまり意味がありません。効果が出る方を使えばいいんです。選択肢が増えたということはAGA治療を行っている薄毛人達にとっては朗報ですし、フィナステリドで効果があまり出なかった人にとってはデュタステリドは救世主になるかもしれませんよ!?